下水道管の点検はどう変わる?八潮の陥没事故後のドローン点検と法改正をやさしく解説
作成者:
株式会社クリエイティブ・ラボ
更新日:2026-11-02 12:17
カテゴリー:
クリコラ 〜 CREATIVE LAND 建設コラム 〜
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株式会社クリエイティブ・ラボ
更新日:2026-11-02 12:17
下水道管の点検はどう変わる?八潮の陥没事故後のドローン点検と法改正をやさしく解説
ニュースの背景は?
2025年1月、埼玉県八潮市で、下水道管の損傷による大規模な道路陥没が起きました。
原因究明委員会の報告書(2026年2月)は「県が管理する下水道管が硫化水素で腐食したことに起因すると考えられる」とまとめています。
この報告書は、責任の所在を明らかにするものではなく、再発防止のための提言が目的です。
そして10月28日、新潟県長岡市で、ドローンで下水道管を点検する実証実験が行われました。
原因究明委員会の報告書(2026年2月)は「県が管理する下水道管が硫化水素で腐食したことに起因すると考えられる」とまとめています。
この報告書は、責任の所在を明らかにするものではなく、再発防止のための提言が目的です。
そして10月28日、新潟県長岡市で、ドローンで下水道管を点検する実証実験が行われました。
下水道管は、何で傷むの?
下水道管が傷む原因というと、水の流れで削れる、重みで割れる、といった姿を思い浮かべませんか。
実は、大きな原因の一つは「ガス」です。下水から出るガス(硫化水素)が、微生物の働きで酸に変わり、コンクリートを傷めることがあるのです。
実は、大きな原因の一つは「ガス」です。下水から出るガス(硫化水素)が、微生物の働きで酸に変わり、コンクリートを傷めることがあるのです。
傷みはどこから始まるの?
以下のような流れで傷みます。
①硫化水素(H₂S)の発生
…下水中の硫酸塩(SO₄²⁻)が硫酸塩還元細菌の働きで硫化水素(H₂S)に還元され、水面上の気相部へ拡散
②硫化水素の酸化と硫酸(H₂SO₄)の生成
…コンクリート表面に付着した硫黄酸化細菌の働きで硫化水素(H₂S)を硫酸(H₂SO₄)に酸化し、コンクリート表面が強酸性環境(pH1〜2)となる
③二次生成物の形成
…硫酸がコンクリート内の水酸化カルシウムと反応し、二水石こうを生成→コンクリートが多孔質化し、強度低下を招く。硫酸がモノサルフェートと反応し、エトリンガイトを形成→エトリンガイトの膨張作用により、コンクリートのひび割れや剥離が発生
④強度低下と断面欠損
…ひび割れや剥離が進行し、コンクリートの組織が破壊される。断面の減少により、耐荷性能が低下。
傷みやすいのは、水に浸かった部分ではなく、水面より上の、空気に触れる部分です。段差や落差の大きい所など、ガスが出やすい場所が要注意とされています。
①硫化水素(H₂S)の発生
…下水中の硫酸塩(SO₄²⁻)が硫酸塩還元細菌の働きで硫化水素(H₂S)に還元され、水面上の気相部へ拡散
②硫化水素の酸化と硫酸(H₂SO₄)の生成
…コンクリート表面に付着した硫黄酸化細菌の働きで硫化水素(H₂S)を硫酸(H₂SO₄)に酸化し、コンクリート表面が強酸性環境(pH1〜2)となる
③二次生成物の形成
…硫酸がコンクリート内の水酸化カルシウムと反応し、二水石こうを生成→コンクリートが多孔質化し、強度低下を招く。硫酸がモノサルフェートと反応し、エトリンガイトを形成→エトリンガイトの膨張作用により、コンクリートのひび割れや剥離が発生
④強度低下と断面欠損
…ひび割れや剥離が進行し、コンクリートの組織が破壊される。断面の減少により、耐荷性能が低下。
傷みやすいのは、水に浸かった部分ではなく、水面より上の、空気に触れる部分です。段差や落差の大きい所など、ガスが出やすい場所が要注意とされています。
どうやって見つけるの?
方法の一つは、作業員が管の中に入って目で見る「潜行目視」です。老朽化した管では、硫化水素などの有毒ガスが出る危険があります。そこでテレビカメラが使われ、最近はドローンも試されています。
国の全国調査では、管の直径が2m以上で、1994年度以前に造られた約5,332kmが対象でした。2026年2月末までに、約5,121kmを人の目やテレビカメラで調べ、約1,326kmでは路面からの空洞調査なども行いました。
その結果、対策が必要とされたのは748kmです。内訳は、原則1年以内の対策が必要な「緊急度1」が201km、応急措置のうえ5年以内の対策が必要な「緊急度2」が547kmでした。地盤の中の空洞は96か所見つかり、すべて対策済みです。
国の全国調査では、管の直径が2m以上で、1994年度以前に造られた約5,332kmが対象でした。2026年2月末までに、約5,121kmを人の目やテレビカメラで調べ、約1,326kmでは路面からの空洞調査なども行いました。
その結果、対策が必要とされたのは748kmです。内訳は、原則1年以内の対策が必要な「緊急度1」が201km、応急措置のうえ5年以内の対策が必要な「緊急度2」が547kmでした。地盤の中の空洞は96か所見つかり、すべて対策済みです。
だったら、全部ドローンに任せればいいのでは?
長岡市のドローン実証では、約50mの管で、映像が鮮明に撮れることが確認されました。市は、1〜2年後をめどに導入する方針です。ただ、課題もあります。ひび割れの幅などを、人が測った値と同じように正確に測れるかどうかです。
八潮の報告書も、飛行式ドローンの活用の標準化を検討するとともに、画像診断や空洞を探す技術の開発を提言しています。人の目、カメラ、ドローン、地面の下の調査。手段を重ねて、見落としを減らす考え方です。
八潮の報告書も、飛行式ドローンの活用の標準化を検討するとともに、画像診断や空洞を探す技術の開発を提言しています。人の目、カメラ、ドローン、地面の下の調査。手段を重ねて、見落としを減らす考え方です。
誰が担い、これからどうなる?
下水道管は、市町村や都道府県などの管理者が点検と補修を担い、一般に、現場では専門の会社が調査や工事を行います。
国は調査を要請して、技術面と財政面で支援します。2026年7月には、八潮の事故を受けた改正下水道法が成立しました。報道によると、維持管理の状況の公表が、管理者に義務づけられます。
施行は、原則として公布から6か月以内とされています。災害や事故のときに、都道府県が復旧工事を代行する制度もできます。
国土交通省の2019年の資料では、全国の下水道管(約47万km、2017年度末)のうち、国が目安とする寿命(標準耐用年数の50年)を超える管は約4%でした。それが20年後には、約32%に増える見込みとされていました。
国は調査を要請して、技術面と財政面で支援します。2026年7月には、八潮の事故を受けた改正下水道法が成立しました。報道によると、維持管理の状況の公表が、管理者に義務づけられます。
施行は、原則として公布から6か月以内とされています。災害や事故のときに、都道府県が復旧工事を代行する制度もできます。
国土交通省の2019年の資料では、全国の下水道管(約47万km、2017年度末)のうち、国が目安とする寿命(標準耐用年数の50年)を超える管は約4%でした。それが20年後には、約32%に増える見込みとされていました。
次に道路工事を見かけたら
地面の下で、管を調べているのかもしれません。今後は、自治体による点検結果の公表が進む見通しです。自分の町の下水道の状況を調べてみる、きっかけにしてみてください。
参考資料・出典
■国土交通省 下水道管路の全国特別重点調査の結果(2026年4月21日)
https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000731.html
■国土交通省 八潮市道路陥没事故 原因究明委員会 報告書 概要版(2026年2月19日)
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001990756.pdf
■国土交通省 下水道法等の一部を改正する法律案(閣議決定、2026年3月27日)
https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000722.html
■国土交通省 同法律案の資料(施行時期、点検頻度の案など)
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/002009998.pdf
■国土交通省 下水道管路の点検結果を初公表(2017年11月28日、5年に1回以上の点検)
https://www.mlit.go.jp/common/001211885.pdf
■国土交通省 資料(2019年7月、総延長と標準耐用年数)
https://www.mlit.go.jp/common/001300489.pdf
■土木技術資料 60-6(2018)硫酸腐食の仕組み
https://www.pwrc.or.jp/thesis_shouroku/thesis_pdf/1806-P024-027_fukatani.pdf
■UX新潟テレビ21 長岡市のドローン点検の実証(2026年10月28日)
https://www.uxtv.co.jp/ux-news/20261028-ux-013/
■NHK 下水道管の点検にドローン活用する実証実験 新潟 長岡
https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20261028de67204
■NHK 改正下水道法が成立
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015177601000
■契約ウォッチ 下水道法等改正(公布日・施行時期)
https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/202701-sewerage-act/
https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000731.html
■国土交通省 八潮市道路陥没事故 原因究明委員会 報告書 概要版(2026年2月19日)
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001990756.pdf
■国土交通省 下水道法等の一部を改正する法律案(閣議決定、2026年3月27日)
https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000722.html
■国土交通省 同法律案の資料(施行時期、点検頻度の案など)
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/002009998.pdf
■国土交通省 下水道管路の点検結果を初公表(2017年11月28日、5年に1回以上の点検)
https://www.mlit.go.jp/common/001211885.pdf
■国土交通省 資料(2019年7月、総延長と標準耐用年数)
https://www.mlit.go.jp/common/001300489.pdf
■土木技術資料 60-6(2018)硫酸腐食の仕組み
https://www.pwrc.or.jp/thesis_shouroku/thesis_pdf/1806-P024-027_fukatani.pdf
■UX新潟テレビ21 長岡市のドローン点検の実証(2026年10月28日)
https://www.uxtv.co.jp/ux-news/20261028-ux-013/
■NHK 下水道管の点検にドローン活用する実証実験 新潟 長岡
https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20261028de67204
■NHK 改正下水道法が成立
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015177601000
■契約ウォッチ 下水道法等改正(公布日・施行時期)
https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/202701-sewerage-act/
執筆者情報
■氏 名:ハヤシ ヒビキ
■会 社 名:株式会社クリエイティブ・ラボ
■所属・役職:デザイナー
■企業ページ:https://creative-land.jp/company-detail/3
■コラム公開日:2026年11月2日(月)
■会 社 名:株式会社クリエイティブ・ラボ
■所属・役職:デザイナー
■企業ページ:https://creative-land.jp/company-detail/3
■コラム公開日:2026年11月2日(月)